展覧会「ボルケーノ・ラヴァーズ - アイスランドと日本から」は、アイスランド人キュレーター、ビルタ・グジョーンスドッティルと日本人キュレーター、渡辺真也による合同キュレートリアル展である。
アイスランドと日本の間には歴史的に親密な関係はなかったものの、この2つのネーションが文化的・地理的共通点を持つことは明白である。両国はユーラシア大陸の西と東のほぼ対極に位置する島国であり、双方とも地理的特徴として火山を有し、そのことに多大な影響を受けてきた。本展示では、こうした既存の類似点の先にある、現代日本とアイスランドの生活様式における共通点を指摘し、さらにそれらの文化的要素が今日の両ネーションに暮らす人々にとってどんな意味があるのかを、探求してみたい。
プレートテクトニクス研究により、アイスランドは、大西洋中央海嶺の隆起に沿った地球の割れ目、すなわち分離した境界の両側に新たな地殻を形成した北アメリカプレートとユーラシアプレートの割れ目から生まれたことがわかってきた。一方日本は、太平洋、フィリピン、ユーラシアの3つのプレートの接合箇所の上に形成され、そのため高い山々や深い海溝といった地形を持つに至ったのである。
言い換えれば、地球はアイスランドで生まれ、日本において消滅している。そして、両ネーションは地球の変容、構築、脱構築に伴うパワーとエネルギーを共有していると言える。火山地形と島国文化には、地政学の伝統上の類似点が見られ、両国ともアニミズム──例えばアイスランドにおけるアサトゥルや、日本の神道──の影響を強く受けているのである。
スーザン・ソンタグの小説「火山に恋して」からタイトルを引用した本展示は、類似した背景を持つ2つの異なるネーションにおける、ミニマルな表現に潜むエネルギーと感情を捉えようとするものである。出展作品は、いずれも感覚的な体験、相対性、日々の慣習の複雑さといったテーマを、巧みにさぐっている。
そこから、私たちは、自然や地理によって大きな影響を受ける「創造」に対する理解を、日常生活の中の一見ありきたりな領域にまで深めることができる。私たちは、この展示がすべての参加作家と来場者に対し、未来の芸術的活動や感動的体験を通じ、個人もしくは集団で、これらの要素を探求するためのプラットフォームになることを願っている。